2011年03月08日

幼児殺害事件について

熊本で3歳の子どもが大学生によって殺され遺棄されました。
どれだけの人たちが、3歳児の愛らしさを思い、ご家族の苦しみを考えて気持ち塞いでいることでしょう。


本日、私たちNPO法人にじいろCAPにも新聞社から問い合わせがありました。
「大型商業施設のトイレが死角になりやすい、とわかったけれども、どうやったら防ぐことができると思いますか?」と……。

CAP(子どもへの暴力防止)のスペシャリストとして確実に言えることは次のことだろうと思います。

・まずは、子どもの命を奪われたご家族ひとりひとり(きょうだいも)の喪失感や怒り、自責感に手厚いケアが用意されること。
・これから行われる裁判が量刑を決めるだけでなく、再発防止につながるような意味ある取調べ、調査が行われることの重要性。
この被害者側と加害者側へことを大前提として……

私たち「おとなにできること」は、次のことでしょう。

①事件が起きた時だけの慌てたような反応をしない
~自分たちおとなが不安になったからと言って、子どもたちにそのまま不安感をぶつけて、さらに子どもたちを不安にさせないことが重要です。不安感は人間の判断力を劣らせるだけです。~
②不安感を煽るような報道や対応にならないようにする
~再発防止や予防は事実に基づいてのみ対応可能となります。「トイレが危ないらしいよ」「〇〇店が危ないってよ」という噂話の延長では、実際に子どもたちに安全な地域を贈ることはできません。子どもたちは殺害に至らなくても多くの被害を受けています。残念ながら、そのほとんどは顔見知りや、よく知っている場所でなのです。おとなである私たちは、右往左往するのではなく、子どもたちの安全性を全体的に考慮して確実に、一人ひとりの子どもたちが成長できるような仕組みを作ることです。社会の一部分を切り取って全体をわかったような気持ちにならないことが大切でしょう。~
③「~~しちゃダメ」方式ではなく、「~~できるよ」方式の防止策をとりましょう!~大人の不安をそのままに伝えることは予防につながりません。「一人になっちゃダメでしょ!!」「知らな人について行っちゃダメでしょ!!」ではなく、その子どもの年齢に合った安心できる情報(できること)を伝えましょう。たとえば「知らない人に声をかけられても答えなくてもいいんだよ」など。私たち大人は日常生活の中で、思った以上に大人に従順でいることを子どもたちに望んでいます。そのため「知らな人について言ってはいけない」という情報と「あいさつしなさい」「はい!って言いなさい」という情報が子どもの中で非常に矛盾した情報になっています。すっきりと自分が怖かったら、近づかなくていいよ。逃げていいよ。叫んでいいんだよ、と伝え、怖がらせることなく簡単な練習をしておくとよいでしょう。~
④二次被害を防ぐこと
~日頃から大人にできることは、万が一、子どもが被害にあったときの対応の仕方を心得ておくことです。大人の不安感をそのままぶつけないことです。これは繰り返しになりますが、子どものトラウマティックな体験からの回復には欠かせない応急処置です。もしも、「なんで早く帰って来なかったの?」「どうして、ついて行っちゃたの?」「なぜ、いやって言わなかったの?」という言葉を被害を受けた子どもに言ってしまったらどうでしょうか。 どんな被害体験であれ、いち早く、身近な人から「あなたが悪いんじゃないんだよ」と何度も何度も繰り返し言ってもらうことが、どれだけの自己治癒力を引き出すことでしょう。逆に言えば、暴力の被害を受けると被害者側が自分を責めてしまう心理が働きますから、つい言ってしまった責めてしまうような言葉が更なる傷になることになるということです。事前に被害者心理を心得ての対応策を知っていることはAED処置や、心臓マッサージを心得ていることと同じなのです。そして、その頻度はAED処置や心臓マッサージをしなければならないような場面よりもずっと多いことを知っていなければなりません。~

これを読んでくださった方へのお願い
…インフルエンザのウィルス感染を防止するときのことを思い出してください。予防注射を受けることも大事ですが、日常生活の中でよく食べ、よく遊び、よく寝ることがからだ全体の免疫力を上げることになるでしょ?万が一、ウィルス感染しても症状は軽くて済むからです。何らかのことでウィルス感染で死亡事件が起こったからといって、やるべきことが変化しないはずです。社会のシステムとして予防注射や薬の開発、夜間救急の向上、院内感染の予防などの取り組みは大事ですが、一人一人が大事にすべきことは日常生活の中での免疫向上のはずです。予防の手洗いやうがいのはずです。どうぞ、過度の反応をしてしまって免疫力そのものをさげてしまうようなことになっていないかだけはチェックしてみてください。
 子どもが2~3歳になれば、ひとりでできることが増えてきて喜んでいます。ご家族もひとりでできることを眼を細くして喜んでいることでしょう。少しずつ親から離れても大丈夫になります。子どもが本来、そうやって成長できることを奪われてしまうことがないように、そのうえで安全性を高められることを画一的でなく、その場、その場、その地域、その地域で具体的に考えていってください。不安でしょうが、万能薬はないのですから。



Posted by にじ at 00:42│Comments(0)
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