2011年05月22日

エンパワメント

福岡のホームレス3分の1に 就労支援など奏功
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 2009年に増加数が全国一だった福岡県のホームレスが、2年間で3分の1に減っていることが厚生労働省の実態調査でわかった。


 全国の減少率を大幅に上回っており、福岡市などで一時的な住居の提供や生活保護の活用など支援策が進んだことが要因とみられる。


 厚労省によると、今年1月時点のホームレスは全国で1万890人。前年比17%減少し、4年連続で減っている。福岡県は同28%減の442人。同県ではリーマン・ショック後の09年の調査で1237人が確認され、前年比155人増と増加数が全国でも突出していた。特に県全体の8割を占めていた福岡市のホームレスは2年間で969人から270人に減った。


 背景には官民挙げた取り組みがある。昨年5月にグリーンコープ生協が福岡市東区に個室型としては九州最大規模の宿泊型の自立支援施設「抱樸館(ほうぼくかん)福岡」(定員81人)を開所。就職や金銭管理のセミナー、資格取得のための講義も行う。これまでに約200人が入所し、約50人がアパートを借りて新生活を始めた。青木康二館長によると「常に満室。現在も10人ほどが入所待ち」の状態だという。


 福岡市も09年11月に居住しながら就職、自立を目指す「就労自立支援センター」(定員50人)を新設。今年3月末までに入所した135人のうち53人が就労した。


 同市保護課は「施設の整備などのほか、ホームレスの人たちを巡回して住居や仕事の相談を受けるなど対策を進めた成果が出てきたのではないか」としている。


 また、09年3月から住居がない人にも生活保護を適用できるよう運用を改め、同月だけで318人が生活保護を受け始めて路上生活から脱したという。

(2011年5月19日 読売新聞)

ホームレス状態にある人たちに対して、長い時間、私たちの社会では、『一人前ではない』、『ダメな人間』『怠け者』というレッテルを張り、その上で『ちゃんとした人間』にするために上から指導的に関わろうとしたり、排他的政策をとったりしていた長い年月があります。ホームレス状態にある人たちは、力がないわけではありません。もし、その人たちに欠けているものがあるとしたら、それは差別のある社会で失ったチャンスなのです。チャンスがないがために、知識やスキルを身につけることができなかった。あるいは奪われた。であるならば、必要なことはチャンス! チャンス! チャンス! そして、チャンスの中にある知識とスキルなのではないでしょうか。 

1つや2つのリスクならば何とか乗り越えられても、人生にはいっぺんにリスクが襲いかかる時が残念ながらあります。病気・失業・事故・家族の不幸・天災……。予測を立てて準備をできる人もいることでしょう。しかし、それさえも経済や持ち合わせた環境によって、できることとできないことがあるのが現実です。

私たちCAPでは、よく子どもを信じる!というフレーズを使いますが、それは「子どもを信じていますから」という理由で何もしない自分たちを許すために使用するのではないはずです。信じるからこそ、同時に自分には何ができるのか?と、自分にも負荷を課してできることを探ることなのではないでしょうか。 

「本当に信じること」とは、難しいことです。かなりの意識で信じようと一歩を踏み出さなければいつまでたっても、人を信じたり、信じることを前提にした安心できる社会はできないのだろうと思うのです。

この記事を読みながら、エンパワメント教育法が誕生したブラジルでの出来事を思い出したのでした。
ぜひ、パウロ・フレイレ氏のエンパワメントについて学んでみてください。エンパワメントとは、そんなに甘いほんわりしたものではなく、常に人に覚悟を求めるものだと思われます。



Posted by にじ at 12:26│Comments(0)
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