2011年10月01日

小さな胸の中に②

相談と告げ口は違う 子どもの暴力防止プログラム(CAP)で行う子ども向けワークショップでは、子ども達が友達の大切な権利を奪う「いじめ」もテーマにしています。
 毎日かばんを持たされる、お金を持ってこいと言われる・・・などといった内容のロールプレイ(役割演技)を見た後、クラスの子ども達と一緒に考えます。何が起こり、その後どんな気持ちになったのか、そして、何ができるのか、と。
 いつも話題になるのは「告げ口」です。子どもたちは、いじめられたことを誰かに打ち明ければ「告げ口をするひきょうなヤツ」とみられないか不安なのです。
 そこで、

誰かを困らせるために、別の人にその人の事を悪く伝える「告げ口」と、自らの身に降り掛かった困り事を「相談」するのは違うのだと説明します。「相談するのは大切な権利の守り方なんだよ」と話すのです。

 クラスの一人一人がそれを聞いて、学年全体で共有し、先生が全校に広めてくれれば、子どもたちはどんなに安心するでしょう。
 5年生のA君がワークショップの後に、クラスで起きていたいじめの相談に来てくれました。
「話してくれてありがとう。とっても大切なことだから、担任の先生にも話して一緒に考えてほしいけど、先生に話せますか」と聞くと「ワークショップに参加して、勇気がわいたから」と自分で相談に行きました。
 来たのはA君だけではありません。いじめに気づきながら、それを止めたり相談に乗ったりすることができなかったほかの子どもたちもやってきました。
 ちょっとしたアドバイスや、良心を確認できるようなスキルを与えられると、子どもたちは思いのほか力を発揮し、自分たちで問題を解決できます。もちろん先生をはじめとする大人が支えていることを感じ取れるように工夫するのも大事なポイントです。
 高学年の子どもたちからよく出るのは「相談しても仕方がない」という意見です。それでも「心のもやもやを誰かに話すと、どんな気持ちになる」と尋ねると、「安心する」「一人じゃないって気持ちになる」などの言葉が返ってきます。そして「誰かに話すのは安心する権利のためだよ」「解決しなくてもホッとするもんね」という意識が広がっていくのです。
 子どもたちは、言っても無駄だと思い込み、自己規制しがちですが、きちんと意見を尊重してもらえる安心感があれば、自由な発想ができなくなります。そして、一人一人の気づきを共有して善悪を判断できる力を備えていくのです。









Posted by にじ at 10:19│Comments(0)
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